年下男子は恋愛対象になりますか?
「じゃあ、ライブ後に会おうねー」

ライブの開場時間になって、私と隼人君は皆のことを見送った。予定通り後ろで観ることにしたから、急いで入る必要がない。

「本当にごめんね?来たこと後悔したでしょ」

「してないですよ」

あれから彩と晴香が本当に離してくれなくて、さっきまで男女別で話してたから隼人君と話すのは数十分ぶり。

その顔を見ただけで疲れが吹っ飛ぶ。
もう見られる心配もないし、手を繋いでも大丈夫かな。というか繋ぎたい。

「隼人君は質問攻めされなかったの?」

「俺はされなかったです。むしろ謝られました」

自動販売機で水を買ってくれて、笑顔のまま渡してくれた。

「ありがと。何で謝られたのか気になるんだけど、……え、もしかして何かされた!?」

「はは、何もされてないですよ。俺の前で由夏さんのこと呼び捨てにしたこと、弘樹さんが気にしてたみたいです。皆さん良い人ですよね」

だから苗字を聞かれたんだ。
答えてる途中で彩達が来たから、聞こえてなかったのかも。

今さら「高橋さん」なんて呼ばれても、違和感しかないけど。

「呼びたかったら隼人君も呼び捨てでいいからね?それに敬語じゃなくて大丈夫だし」

「ありがとうございます。でも、俺は今のままにします。だって──…」

何か考えてるような表情を一瞬だけ浮かべたのち、隼人君がニコッと微笑む。

あ、笑って誤魔化された。

「だって、何?」

「今言うと怒られると思うので、気になるようでしたら帰りに聞いて下さい。それより、まだライブTシャツ着ないんですか?」

そう言ってくるってことは、きっと私にとって恥ずかしいことだよね。気になるけど敢えて聞かないことにした。

「あー、今日はやめとく。やっぱり隼人君の前だとライブモードになれそうにないし。そろそろ行こっか」

隼人君の手を取って、さっきいた場所へと戻る。この頃には空が薄暗くなっていた。
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