年下男子は恋愛対象になりますか?
「隼人君、急いで出よう!」

ライブが終わって体育館内が明るくなってから、隼人君の腕をグイっと引っ張った。

「え?でも皆さんに挨拶しなくていいんですか?ライブ後に会おうって言われてましたよね」

「あとで謝るから大丈夫。隼人君と知り合ったきっかけとか色々話しちゃったから、会ったら絶対からかわれる。隼人君は話さないでいてくれたのにゴメンね」

皆は前の方にいるだろうから、ここを出るまでにはそれなりの時間がかかるはず。逃げるなら今がチャンス。

「いえ。俺は由夏さんが困るかなって思って話さなかっただけなんで」

「でも、会ったら隼人君までからかわれるよ?テンションおかしくなってると思うから、さっきよりしつこいはず」

出口に流れていく多くの人達。
その波に乗っているはずなのに、ほとんど進まない。じれったい。

「俺は平気ですよ」

「私が嫌なの」

スマホを取り出してメッセージを送ろうとしたら、既に先手を打たれていた。帰るなというニュアンスの内容が続々届いている。

「待ってた方がいいんじゃないですか?」

視線をスマホから隼人君に移す。
何も言ってないのに、私の表情を見て分かったみたい。それとも画面が見えたとか?

「……私は早く帰りたいかな。そろそろ2人きりになりたいし」

何より、皆がいると落ち着かない。

「今ここで抱きしめたら怒ります?」

「お、怒ります!」

「ですよね。まぁ、こうして腕を組めてるだけでも嬉しいですけど」

はぐれないように無意識にそうしていたみたいで、その言葉を聞いて慌てて離れた。笑ってるし本当に意地悪。

「あ、由夏と隼人くん見っけー!既読スルーされたから帰ったのかと思ったよー」

皆に見つかって、そのまま一緒に出口まで向かった。ライブの話ばっかりだから今のところセーフ。

「じゃあ、皆またね。隼人君行こ」

外に出てから笑顔で挨拶して、再び隼人君の腕を引っ張った。逃げるが勝ち。

「え?すみません、お先に失礼します。今日はありがとうございました」

後ろから色々聞こえるけど、追ってくる気配はない。
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