年下男子は恋愛対象になりますか?
「その言い方はズルいですよ」

ボソッと言われた言葉に、顔から火が出そうになった。そんなこと分かってる。ただ、隼人君に引き止めてもらいたかっただけ。

助手席を降りたあとにスーツケースを取り出したと思ったら、目で降りてと伝えられた。素直に従って外に出る。たまに吹く風が冷たい。

コートのポケットの中で重なる手。
並んで歩いているけど、いつもより急ぎ足で。
無言なのが心臓をうるさくさせる。

「どうぞ」

「お邪魔します」

何回言ったか分からない言葉を口にする。
ドアが閉まった瞬間、荒々しく口を塞がれた。酸素を求めるのも許されない程のキス。

何も考えられなくなる。




珍しく今日は寝落ちしなかった。
日付が変わったぐらいだったから、時間もそんなに経ってない。

「お風呂一緒に入ります?」

脱ぎ散らかした服を身に付けてる時、ベッドに横になったままの隼人君が意地悪そうに笑った。

「入りません!やっぱり今日は帰るね。仕事が忙しくなるのは本当なの」

少し休めば車の運転も問題なさそう。
理由は分かっていた。隼人君が気を遣ってくれたのか、いつもより回数を減らしてくれたから。

「じゃあ、今度の週末に一緒に入りましょうね」

「……考えとく」

「はは、それって入る気ないですよね。コーヒー淹れるので飲んで行って下さい」

洗面所の鏡でチェックして、戻って来た時には隼人君も服を着ていた。プレゼントした腕時計まで付けてくれている。嬉しい。

昨日フレンチトーストを食べてた時と同様、コーヒー片手に嬉しそうな視線を送ってくる。

「何?」

「由夏さんのスイッチ、何で入ったのかなって考えてました」

コーヒー吹き出さなくて良かった。
熱々だから火傷してたかもしれないよ?

「……ライブで初めて会った高校生に、綺麗って言われてテンション上がってたからかも」

本当のことは言えないし、お返しとして敢えて意地悪な言い方をした。
< 614 / 755 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop