年下男子は恋愛対象になりますか?
その日の深夜、バイトから帰ってきた隼人君の様子がいつもと違っていた。目が合ったらすぐに笑顔になったけど。

玄関先でギューッと抱きしめられる。帰ってきたばかりだからかコートが冷たい。

「今日忙しかったの?さっき疲れた顔してたでしょ」

「いえ、そういうわけじゃないんです。でも由夏さんの顔見たら全部吹き飛びました」

声も何だか弱々しい気がして、おでこに手をあててみる。

「最近寒暖差激しいし、もしかしたら風邪ひいたんじゃない?うーん、熱はないみたいだけど安静にね。お風呂沸かしてくるから待ってて」

いつから調子悪かったんだろ。
浮かれすぎて気が付かなかったとしたら嫌だな。

隼人君がお風呂に入ってる間、風邪の引き始めの対策について検索した。栄養ドリンクの記事が真っ先に目につく。

コンビニ行きたいって言ったら、一緒に行くって言ってくる可能性が高い。少し考えたのち、口では伝えずメモを残すことにした。

隼人君ごめん!すぐ戻ってくるから。

栄養ドリンクやスポーツドリンク、野菜たっぷりのインスタント味噌汁など、対策としておすすめされていた物を買い込む。

隼人君の家まで残り約3メートルというところでスマホが鳴った。そのあとすぐドアが開く。

「あ、湯冷めしちゃうから外に出てきたらダメだよ」

駆け寄って中に戻るよう促す。

「こんな時間に何で1人で出かけたんですか?」

「ごめん、近くだからいいかなって思って。効きそうな栄養ドリンク買ってきたから飲んでね」

「……俺、買って来てほしいなんて頼んでないですよね?余計なことしないで下さい」

さっき顔を見た時、機嫌が悪そうなのは分かってた。体調悪いとイライラすることもあるよね。でも。

「そっか、そうだよね。余計なことしてごめん。あ、お風呂借りまーす」

でも、そんな言い方しなくてもいいじゃん。
冷蔵庫の近くにビニール袋を置いて、逃げるように洗面所へと移動した。
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