年下男子は恋愛対象になりますか?
それに、そろそろ限界。
掛け布団を頭までかぶっているから息苦しい。

「誤解なんてしてないって。友達ならバイト先に来てくれることだってあるよね。あの日、隼人君に会わないで帰ったのも疲れてたからだし」

東京にいるって嘘ついた理由が浮かばないけど、お願いだから忘れたふりをして。

「……最近避けられてたのは、あの日のことが原因なんですよね?」

「だから違うってば。避けてなんかない。この話はやめよ?眠くなくなったから、起きてゲームでもしようかな」

ガバッと起き上がって、手で髪を整えながらテレビの前に移動する。笑顔を作ってはいたけど隼人君の方は向かなかった。

「お願いします。話を聞いて下さい!あの日は」
「勝手に準備しちゃうね。いつも負けてるから今日は勝ちたい」

微妙にふらつく手でテレビとゲーム機本体の電源を入れ、コントローラーを2つテーブルの上に置いた。

「嫌な思いをさせてしまって本当にすみませんでした!さっきも言いましたけど、俺が好きなのは由夏さんだけなんです!これだけは信じて下さい」

ソファーに座ってからも隼人君は話をやめない。横を向いて目があうと、少しだけホッとしたように見えた。

「謝らないでよ。私に悪いことしてるって自覚があるから謝ってるんだよね?惨めになるからやめて」

笑顔を浮かべながら言うことじゃない。
頭の中グチャグチャでおかしくなったのかも。

それに、とっくに惨めになってるし。
何も知らないで、ウキウキでバイト先まで行ってたなんて笑えるよね。

「それは……」

そこで言葉に詰まったらダメでしょ。
やっぱり悪いって思ってたんじゃん。

「あはは、やっぱりそうなんだ。そっかー」

「お願いします!話を」
「ねぇ、ちょっと距離を置きたいって言ったらどうする?しばらく連絡とるのやめてみない?」

もう疲れたよ。
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