年下男子は恋愛対象になりますか?
「絶対に嫌です!それって別れたい、ってこと……ですよね」

隼人君の声がだんだん小さくなる。
この空気には似合わない、レースゲームの陽気な音楽が流れ続けていた。

コントロールを持って決定ボタンを押す。
隼人君はやらないだろうから1人プレイ。

「違うよ。少し距離を置くだけ」

「ちょ、ちょっと待って下さい!アイツと会っていたのには本当に理由があって、全部由夏さんのことを思ってしたことなんです!だから、せめて話を聞いて下さい。お願いします」

「今さら遅いよ。理由があるなら、そうなった時に隠さないで教えてほしかった」

肩を掴んできた手を振り払う。
この頃にはもう笑えなくなっていた。
やっていたゲームもコースアウトしちゃったし最悪。

私も頑固なの知ってるよね?
絶対に聞きたくない。聞かない。

「…………っ、距離を置くってどれくらいですか?その期間が過ぎれば、また会ってもらえるんですよね?来週、来週のテーマパークは行けます!?」

何で隼人君が悲しそうなの?
悲しいのは私だよ。ずっと信じてたのに。

「行けるわけないじゃん。チケット代は全額払うから心配しないで。ホテルもキャンセルしとくから」

初めてのプチ旅行。ずっと楽しみにしてた。
ガイドブックにいっぱい付箋貼ってたし、隼人君も楽しみにしてると思ってたんだけどな。

何も知らないで浮かれてた私を見て、どんな気持ちだった?考えれば考えるほど惨めになる。

「どうしたら……、どうしたら前みたいに会ってもらえますか!?」

そんなの私が知りたいよ。
そうならない為に頑張った。

でも、隼人君のことを考えるだけで疲れるなんておかしいよね。こんな状態で付き合ってもツラいだけ。分かりきってたことなのに蓋をしようとしてた。

「距離を置いてくれたら会えるようになるかも。だから、ね?お願い。少し離れよう。とりあえず今は、ゆっくりお風呂に入ってきてくれたら嬉しいな」
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