年下男子は恋愛対象になりますか?
「こんな状況で入れるわけないじゃないですか。その間に帰るつもりなんですよね?」

隣に座ってる隼人君が項垂れている。
カラフルな映像が映るテレビ画面では、私がプレイしているキャラクターだけがゴール出来ないまま停まっていた。

「隼人君が嫌じゃなければ、お酒が抜けるまで居たいって思ってる。タクシーじゃなくて自分の車で帰りたいし」

さっき離れたいって言ったのに、こんなこと言うのは矛盾してるし勝手すぎるよね。でも、まだ一緒に居たいって気持ちもあるの。

「…………嫌なわけない、です」

「ありがと。私、追い焚きボタン押してくるね」

隼人君はまだ顔をあげない。
こんな話をしたからか、私の酔いもだいぶ覚めてきた。多少フラフラするけど問題なく歩ける。

「ねぇ、スマホ鳴ってるよ」

戻ってきた時、耳に入ってきた振動音。
鞄の中をチェックしてみて私のじゃないことが分かった。隼人君のスマホはベッドボードの上。

誰から?
先週まで全く気にならなかったのにな。

「……ちょっと外に出てくるね」

出ないなら電源消して。
喉まで出かかった言葉をのみ込んで、そう言った。

「こんな時間にダメですって!一緒に居たくないなら俺が出て行きますから!それに……、お願いですからそんな顔しないで下さい」

あの子からかもって思ったら堪えきれなくなって、無理やり笑うことをやめた。何でこのタイミングでこっちを向くかな。

「一緒に居たくないわけじゃないよ」

「でも距離を置きたいんですよね」

ゲームと同じように人生にもリセットボタンがあったらいいのに。好きなところまで戻せたら最高だと思う。

「隼人君と楽しく過ごす為だよ。別れたいわけじゃない」

夜にこんな話するんじゃなかった。
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