年下男子は恋愛対象になりますか?
どこにも行かないからと約束して、隼人君を強引に洗面所まで連れて行った。シャワーの音が聞こえるまでドアの前で待機。

目の前にはキッチンがあって右側に部屋がある。その時に視界に入った隼人君のスマホ。振動音はいつの間にか聴こえなくなっていた。

気にする様子なんて全くしていなかったし、それどころか見ないまま放置してた。

あの子からじゃないのは何となく分かる。
分かるんだけど、実際に見て確かめたくなった自分が嫌になった。重すぎる。

それに、見たとしてもモヤモヤが解消されることはないと思うし。……隼人君がバイトと大学に行ってる限りきっと無理。

行かないでなんて言う権利はないし絶対に言うつもりもないけど、こんなふうになっちゃったのに前みたいに楽しく過ごすことなんて出来るのかな。

「ダメだ、お酒飲も」

冷蔵庫からさっきとは違う味の酎ハイを取り出した。プシュと開けて水を飲むように流し込む。





「由夏さん、こんなところで寝てたら風邪ひきますよ」

呼ばれてることには気が付いていたけど、瞼が重くて目を開けられそうになかった。

「きょーはここで寝まぁす」

眠くて動く気になれない。フワフワする。
このまま寝たい。

「ダメです。寝るならベッド使って下さい」

「んー、あとでねぇ」

後ろからズズズッと何かを引きずるような音が聞こえた。気になってぼんやり目を開けてみると、飛び込んできたのはソファーの脚。

どうやらソファーとテーブルの間の床に寝ていたらしい。

「……すみません。少し触りますね」

「ん、冷た」

両肩を支えられ上半身を起こされた時、顔に冷たいものがあたった。隼人君の濡れてる髪。

「すみません。少しだけ我慢して下さい」

「あぁ、髪まだ乾かしてあげてなかったもんねぇ。えーとぉ、ドライヤー」

「え?」

隼人君が何で驚いたのか理解するまで時間がかかった。
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