年下男子は恋愛対象になりますか?
「お待たせしました。どうぞ」

ペンギンが見える場所にあったカフェで、席に座って撮影しながら眺めていると隼人君の声が聞こえた。

ホットコーヒーが私の前に優しく置かれる。
そのタイミングで撮るのを止めて、持っていたスマホをテーブルに置いた。

「ありがと」

「あと、これも由夏さんに」

見せてくれたのはチンアナゴのパンだった。
真っ直ぐじゃなくて顔のところは曲がっていて、目や模様もちゃんとついている。

「えー、何これ!可愛い」

「他にも由夏さんが好きそうなものあったんですけど、まずはコレにしてみました」

メニューをこのとき初めて確認した。
休憩しましょうかって言われて、何も見ずにホットコーヒーをお願いして、そのあとは泳いでいるペンギンをスマホで撮っていたのだった。

隼人君の言った通り、パン以外にも気になるのがいくつかある。

「ドーナツやソフトクリームも食べてみたいかも。全部半分にしたらいけるかな?このパンは何味か知ってる?甘いものばっかりだったら隼人君はツラいよね」

「中にチョコが入ってるみたいです。俺は全然大丈夫なので、追加で何か買ってきましょうか?」

「ううん、このパン大きいし今回はやめとく。そうだ、写真撮ってくれない?美樹に送りたい」

目の前でニコニコしている隼人君を見てハッとした。こんなこと、余裕のある大人はきっとしない。またやってしまった。

スマホを向けてくれたからそのまま撮ってもらったけど、ぎこちない笑い方していると思う。それに、撮ってもらうなら私のスマホにしてもらうんだった。

そのあとは、はしゃぎすぎないように気を付けながら館内を回った。連写しないように、回数を抑えて撮ることも忘れずに。

少し前に決めた今日の目標は「はしゃぎすぎないで楽しく過ごす」こと。幸い、周りには素敵な大人カップルがたくさんいる。密かに参考にさせてもらっていた。
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