年下男子は恋愛対象になりますか?
「もしかしてかなり警戒されてます?まぁ、仕方ないか」

軽く笑いながら北斗さんにグラスビールを注文していた。私はノンアルコールでオススメのものをお願いした。今日はもうお酒は飲まない。飲めない。

「ねぇ、私に声をかけた目的って何?あなたって隼人君の友達じゃないんでしょ?」

「金です。由夏さんと仲良くなったら金くれるって言ってた奴がいて」

きっと、あの子。
こんなことまでしてくるなんて。

「その呼び方だけはやめて」

「じゃあ何て呼べばいいですか?由夏ちゃん?由夏っち?」

「さん付け以外だったら何でもいい。……それで、誰にいつ頃言われたの?」

「12月の半ばぐらいですかね。同じ大学の松田瑞穂って奴が、このバンド好きな奴を探していたんです。好きな人奪われたって怒ってましたけど、恨まれるようなことしたんですか」

スマホに貼ってあるステッカーを私に向けながら話している。身近に同じバンド好きな子がいたら嬉しいけど、今はそんなこと言える状況じゃない。

それと、忘れもしない名前を言っていた。
やっぱりあの子が絡んでるんだ。

「……そのステッカーもワザと?あの子が用意していて、貼ってって頼まれたの?」

「そこまで手がこんだことしないですよ。俺、本当にこのバンドのファンなんです。ステッカーも、年末に会ったのも、今回も偶然です」

疑いの目を向けるとクックッと笑っている。

「あの、少しの間だけでいいんで吉澤隼人君と別れてくれません?あ、もちろん別れたふりで大丈夫なんで。別れさせられたら貰える金額アップするんですよ」

「絶対に嫌」

「ですよねー。やっぱり無理かぁ」

とんでもないお願いにムッとしたけど、北斗さんが差し出してくれたノンアルコールのカシスオレンジを見て少しだけ落ち着くことができた。
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