年下男子は恋愛対象になりますか?
「由夏ちゃん、俺と写真撮りません?」

美味しそうだなと思いながらグラスに口を付けた時、そう言われてむせそうになってしまった。オシャレなお店でそれだけは避けたかったから、何とか耐えたけど。

赤みがかったオレンジ色が、グラスの中で揺れている。急に変なこと言わないでほしい。

それに由夏ちゃんって……!

「仲が良いわけじゃないし、やっぱり高橋さんって呼んで。私も苗字で呼ぶから」

そもそもこの子の苗字知らないけど、呼ぶこともないだろうしまぁいいか。

「えー、俺のことは昂輝って呼び捨てにしてくれて大丈夫ですよ?」

「私が嫌なの。写真も撮らないからね」

「俺って相当嫌われてるんですね」

またクックッと笑っている。
嫌いとか以前に、あの子に見せるだろう写真なんて撮るわけがない。それこそ、ややこしいことになるに決まってる。

「そうやってお金稼ぐのは良くないと思う」

「あ、写真も小遣い稼ぎなのバレてました?いくつか条件があって、それを満たしたら金くれるって言うんですもん。ライブ行くには金が必要じゃないですか。カラオケ屋でバイトもしてますけど、あって困るものじゃないですし」

「……ちなみにいくら?」

左隣に視線は移さず、目の前にあるグラスを眺めながら聞いてみた。

「会って話すのが一万、ツーショット写真が二万、吉澤隼人君と別れさせるのが十万。そんな感じですかね」

この金額が安いのか高いのかは分からない。
でも、あの子はお金持ちなのだろうかと疑問に思った。

それと、ここまでしてでも別れさせたいんだ。
本当に隼人君が好きなら、このやり方は逆効果だと思うんだけど――

隼人君の声が聞きたい。会ったこと言いたい。
でも、まだダメ。言えない。

胸元にある指輪を服の上から触って、モヤモヤした気持ちを抑える。この指輪があって本当に良かった。
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