砂浜に描いたうたかたの夢
「身内? 送ってくれた伯母さん?」

「はい。あと……父と従兄も一緒で」



運悪く、父と智に見つかってしまい、観光がてら着いてくることになったのだ。



「あ、そうなんだ。俺と回ることは話してるの?」

「いえ全く。凪くんのことは、みんなには内緒にしてるので……」



祖父には少し話したものの、今も会っていることは伝えていない。

なので全員、私が毎日出かけているのは、絵日記のネタを探しに行ってるんだなと思われている。もちろん今日も。


そんな中で、男の子と一緒にいるところを見られてしまったら……。


あの2人の性格上、智は茶化し、父は半ギレで詮索してくるに決まってる。



「できれば、少し距離を空けて歩いてもらえると助かります……」



口から出る内容があまりにも自分勝手すぎて、申し訳なさで声がしぼんでいく。


『ただでさえ大声で話せないのに、少し離れろ? それじゃ会話できなくね?』

『つーか、宿題手伝ってもらう身分で失礼すぎだろ! お前何様だよ!』


激しく責める声が頭の中で飛び交う。
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