砂浜に描いたうたかたの夢
分かってる。失礼で極まりないのも分かってる。

だけど、これがきっかけで他所に話が広まったら……凪くんに迷惑をかけてしまうかもしれない。



「なるほど。分かった」

「いいの……?」

「うん。俺も無茶なお願い聞いてもらったし。お忍びデートと思えば楽しそうじゃない?」

「そ、そう? ありがとう」



さすが凪くん。スリルでさえ楽しみに変えるとは。なんという強気な前向き思考。


お忍びデート、か……。

いやいや、あくまでも例えだから。っていうか、いちいち意識しすぎ!

男の子と2人で出かけるのが初めてだからって、ことあるごとにドキドキしてたら心臓もたないって!


心の広い彼に改めてお礼を言い、早速デート……ではなく、ネタ探しスタート。

まずは近くの婦人服売り場を見て回る。



「そういえば、今日髪型違うね。編み込んでるの?」

「うんっ。服が地味だから、せめて髪型だけでも可愛くしようと思って」
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