砂浜に描いたうたかたの夢
「綺麗に残っててビックリした。きっと大切にしまってたんだね」

「ありがとう。ひいじいちゃんに伝えとく」



安堵した様子で顔をほころばせた凪くん。
自分の一張羅を貸すって、ひ孫思いだなぁ。



「凪くんのところって、ひいおじいちゃん以外にも誰かいるの?」

「おばあちゃんがいるよ。2人とも顔は似てないんだけど、性格がそっくりで。この服も、体格が違うから似合わないって言ったのに、ごり押ししてきてさ。圧に負けちゃって着てきちゃった」



苦笑いしているものの、なんだか嬉しそう。



「そうなんだ。お元気だね。やっぱり、普段から運動とかしてるの?」

「犬の散歩くらいじゃないかな。ひいじいちゃんは若い頃鍛えてみたいだけど」

「あ、だから体格が違うって?」

「そうそう。逆三角形で、おまけに顔も美形ですごくかっこよかったんだって。ただ、壊滅的な機械音痴だったから、見掛け倒しって言われてたみたい」



最後の説明がグサッと胸に突き刺さった。


見掛け倒し……世代は違えど、他人事とは思えない。

壊滅的な機械音痴って、一体どれくらいなんだろう? パソコンの使い方が分からないとか?

デジタル社会の時代に生まれた私には、ちょっと想像がつかない……。
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