砂浜に描いたうたかたの夢
一通り回り、秋服もチェックしたところで、今度は水着売り場へ。

実は昨夜、毎日の手伝いのお礼にと、祖父母がお小遣いをくれて。海で遊ぶために、水着を買うことにしたのだ。

来週の月曜日には帰るから、その前に夏を楽しもうと思ってね!



「ねぇねぇ、ワンピースタイプとセパレートタイプ、どっちがいいかな?」

「んー、好きなほうでいいと思うよ」

「えーっ。っていうか、なんで隠れてるの?」



赤色とオレンジ色の水着を手に持ったまま、試着室の陰に身を隠している凪くんに尋ねた。



「もしかして恥ずかしい?」

「……そういう一花ちゃんこそ、選んでるところ見られるの、嫌じゃないの?」



しかし、私の質問には答えず、質問で返された。

別に、下着じゃないからそこまで恥ずかしくはないんだけど……。


チラッと目を動かして売り場を見渡す。

男子目線だと、露出が高いビキニ類は下着に見えちゃうのか。



「全然。それより、どっちがいいか選んで」

「えー、言っても別のやつ選ぶんじゃない?」

「そんなの、言われてみなきゃ分からないよ。お願いっ。男子の意見が知りたいの」
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