砂浜に描いたうたかたの夢
というのも、私の学校は制服が少し珍しく、ブレザーの色が白。

ほら、白って膨張色だから、太って見えるじゃない? だから、これ以上太ると余計大きく見えてしまう。


お父さんに似て身長高めだし、ひいおじいちゃんに似て目鼻立ちもハッキリしてるし。

このままだと、『デカくて厳ついホッキョクグマ』とか、『三段腹の雪だるま』って馬鹿にされちゃうかもしれない。

もしそうなったら、進学校の威厳がなくなっちゃうよぉぉ。



「お客様、良かったら、ご試着してみますか?」

「あっ、いいんですか?」



すると、制服姿のお姉さんに声をかけられた。その瞬間、凪くんは踵を返して奥のタオル売り場へ。

あっ、逃げたな⁉ もう! まだ男子の意見全部聞いてないのにー!

早足で去っていく後ろ姿を睨みつけて、試着室に入ったのだった。







「凪くん、お待たせしました」



会計を済ませ、凪くんがいるタオル売り場に向かった。



「おっ、買えたみたいだね。で、結局どっちにしたの?」

「……ワンピース」
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