砂浜に描いたうたかたの夢
柔らかい口調から一変、眉毛を吊り上がらせて反論してきた。



「俺、納豆アレルギー持ってて、それで1回、病院に運ばれたことがあったんだ」

「えっ⁉ そんなに酷かったの⁉」

「うん。俺は吐いただけで済んだけど、場合によっては命に関わるんだよ」



アレルギーの恐ろしさを知り、もう1度振り返る。


えっと、豆腐と醤油は大豆だから……。だとすると、可能性があるのは5つくらい?

でも……それなら来た時点で伝えるはずだよね? だって私、毎日ご飯作りを手伝ってるんだもん。命に関わるのならなおさらだ。



「いや、ないと思う。あるなら事前に知らせてるはずだから」

「そっか……」



解決の兆しが見えたかと思いきや、振り出しに戻ってしまった。

じゃああとは何が残ってるんだ……?



「……もしかしたら、食材じゃなくて、お祝い自体がダメだったのかも」



1から思考を巡らせていると、再び彼の口から新たな仮説が飛び出した。



「お祝い自体? どういうこと?」

「例えば、祝っちゃいけない時期だったとか。ここ1年間で身内に不幸はなかった?」
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