砂浜に描いたうたかたの夢
ハモるように謝ったものの、謝罪で返されてしまった。


違うよ。説明不足じゃなくて、私達の想像力がなかっただけ。

よく考えたら、曾祖父が生きていたのは戦時中。軍服を着ていたということは、死と隣り合わせの環境にいたということ。

仲間が負傷した姿や、空に旅立つ姿を見てきたかもしれないのに……。



「……実は、戦闘機を見ると、切ない思い出がよみがえると言われてな。それで迎えるのは複雑だろうと思って原付にしたんだよ」



軽々しく口にしたことを後悔していると、少し目を伏せて語り始めた。


曾祖母と結婚した翌年に入隊した曾祖父。その凛々しい容貌から、新人の中でも一目置かれていた。

しかし、不器用だったせいか、ほぼ毎日何かしらのミスを犯し、上官に怒られていたらしい。


自分には才能がないのではないか。ここにいては足手まといなのではないか。

次第に優秀な同期と比べ始めて、しまいには、兵士と名乗る資格なんてないと、自分を責めるようになったのだそう。



「毎日怒られるのはつらいね……」

「あぁ。しかも弱音を言えない環境だったから、より苦しかったみたいでな」
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