砂浜に描いたうたかたの夢
再会した時よりも酷く下がった眉尻、悲しみの色が渦巻く瞳。

今にも泣き出しそうな彼の顔は、強い自責の念で埋め尽くされていた。







リュックサックを砂浜に置き、浅瀬に腰を下ろす。



「ひゃーっ、冷たーっ」



足を伸ばすと、下半身全体がひんやりした感覚に包まれた。

空から降り注ぐ真夏の暑さを和らげてくれる、冷たすぎずぬるすぎない絶妙な水温。最高に気持ちがいい。



「凪くんもおいでよ!」



首だけを後ろに向けて、波打ち際で突っ立っている彼に手招きした。

しかし、先程と変わらず、表情に活気がない。
目を凝らすと、ちょっぴり強張っているようにも見える。


……まだ気にしているみたい。

凪くんのことだから、間接的に関わっただけでも責任を感じたのかな。



「凪くん、本当にもう大丈夫だから。遊ぶ時間なくなっちゃうよ?」

「……そうだね。ごめん」



ようやく口を開いたかと思えば。出てきたのは本日3回目の謝罪。

真面目で優しい性格は素敵だけど、度が過ぎると少し厄介だな……。
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