砂浜に描いたうたかたの夢
呼び寄せると恐る恐る海に入り、1人分の距離を空けて隣に座ってきた。
「凪くんって水泳部だったよね? 何泳ぎが得意なの?」
「クロール。その次はバタフライ」
「バタフライかぁ。1番難しそうなやつだっけ。どうやって泳ぐの?」
「んー、まずは潜る練習からかな。その次にキックで……形はこんな感じ」
足を揃えて波を蹴る凪くん。
ドルフィンキックというらしい。
「あの……今ここで教えてもらえることって、できる?」
水しぶきが収まり、伏せられていた目が丸く縦に開かれた。
水泳教室に通った経験はないけれど、幼い頃から運動を卒なくこなせていたため、学校の授業で平泳ぎまでは習得済み。
全部マスターするのは難しくても、キックまでならいけるかもと思ったのだ。
「俺が先生役やるの?」
「うん! ダメ、かな?」
顔を覗き込むと、気まずそうに視線を逸らされた。
都合の悪さが全面に表れているこの顔──連絡先の交換を渋っていた時と少し似ている。
今まで無茶なお願いを聞いてくれた凪くんだけど、指導は荷が重かったかな……。
「凪くんって水泳部だったよね? 何泳ぎが得意なの?」
「クロール。その次はバタフライ」
「バタフライかぁ。1番難しそうなやつだっけ。どうやって泳ぐの?」
「んー、まずは潜る練習からかな。その次にキックで……形はこんな感じ」
足を揃えて波を蹴る凪くん。
ドルフィンキックというらしい。
「あの……今ここで教えてもらえることって、できる?」
水しぶきが収まり、伏せられていた目が丸く縦に開かれた。
水泳教室に通った経験はないけれど、幼い頃から運動を卒なくこなせていたため、学校の授業で平泳ぎまでは習得済み。
全部マスターするのは難しくても、キックまでならいけるかもと思ったのだ。
「俺が先生役やるの?」
「うん! ダメ、かな?」
顔を覗き込むと、気まずそうに視線を逸らされた。
都合の悪さが全面に表れているこの顔──連絡先の交換を渋っていた時と少し似ている。
今まで無茶なお願いを聞いてくれた凪くんだけど、指導は荷が重かったかな……。