砂浜に描いたうたかたの夢




ひとしきり海水に浸かって涼んだ私は、水分補給をしに砂浜に戻った。

リュックサックから水筒を出して水をのどに流し込み、最後に塩アメを1つ。

熱中症予防は水分だけじゃなく、塩分の摂取も大切だからね。



「凪くんは何も飲まなくていいの?」

「大丈夫。家出る前に味噌汁3杯飲んできたから。それより、今日のネタは見つかった?」



浅瀬でくつろぐ彼に尋ねたら、昨日とほぼ同じセリフで返された。


出た、味噌汁信者。
美味しいし体にいいのは分かるけど……本当に平気なのかな。

今日は室内じゃなくて外だから、のどは確実に渇いているはずなのに。

まさか、海の水で潤せばいいって考えてる?



「うん。今着てる水着と花飾りと、今朝おじいちゃんと従兄と一緒に作った精霊馬を描こうと思ってる」



いや、さすがにそれはないか。成績、中の上だもん。飲んじゃいけないことくらい知ってるはずだ。



「そう。なら良かった。まだ時間は大丈夫?」

「大丈夫。あと1時間半は遊べるよ」
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