砂浜に描いたうたかたの夢
「あの、そのレストランには、何時頃に行く予定なの?」

「そうねぇ、オープンしたばかりで多いと思うから……11時台かしら」

「お盆期間だもんね。ランチタイムでも多そう。せめて11時半には着いておきたいかな」



時間が分かったところで早急に鶏肉料理を消し去り、丸いアナログ時計を思い浮かべる。

ショッピングモールがある町の中心部までは、車でおよそ20分。11時半に到着だとすると、遅くても11時10分にはここを出発しないといけない。



「……あ、もしかして出かける予定あった?」

「……はい」



あからさまに沈む顔色を見た伯母が気まずそうに尋ねてきた。


今日の午前は、凪くんとの海水浴の予定がある。
時間は9時から11時で、昨日と同じ2時間。


ここから海まで何分かかるか計ったことがないから詳しい時間は分からないけど、この10分間で、帰宅とシャワーと着替えと準備は、さすがに無理がある。

仮に猛ダッシュしたとしても、信号に引っかからずスムーズに帰れたとしても、間に合う気がしない。
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