砂浜に描いたうたかたの夢
だけど……。



「でも、早めに帰ってくるので! みんなで行きましょう!」



今日は帰省最終日。この日を逃せば、しばらく伯母にも祖母にも、曾祖母にも会えない。

それに、チキンステーキなんて、最終日にはもってこいのごちそう。絵日記に描くのにピッタリだ。

10分、いや5分ほど早く切り上げてもらえるようお願いすれば、ギリギリ間に合うかもしれない。


凪くんごめんね。せっかく時間作ってくれたのに。


でも凪くんとは、夏休みが終わって友達にパスワードを聞くことができたら、いつでも連絡が取れるようになるから。

電話番号も交換したら、テレビ電話で話すことだってできるから。



「そう? なら、ひいおばあちゃんにも話しておくね。で、道は知ってるの?」

「大丈夫。チラシに住所書いてあったから。ナビは付いてるのよね?」

「もちろん。最初から付いてるわよ」



行くことが決まり、伯母と祖母はくるりと背を向けた。安堵すると同時に手を合わせる。
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