砂浜に描いたうたかたの夢

でもね……私が通っているのは地元で1番の進学校。問題自体は少なくても、内容はすごく複雑で難しいの。

特に最終章は応用問題がほとんど。教科書とノートを見直しながらじゃないと解けないんだよ。


込み上げる感情を抑え、拳に力を入れる。



「そこまで言うなら解いてみてよ。20分で」

「は？　なんで20分」

「さっき『シャレた頭にする時間があったら』って言ったよね？　これ、20分で作ったからさ」



爪を手のひらに食い込ませつつ、左手でお団子を指差して言い放った。


この髪型は20分で完成させた。

器用な人からしたら遅いと感じるのだろうけど、20分は50分授業の半分よりも短い時間。

テストの時でさえ、裏表に印刷されたプリントを50分近くかけて解くんだ。半分以下の時間で全問題を解くのは、いくらなんでも無理難題すぎる。



「は？　20分じゃ無理に決まってるだろう」

「え？　たった2ページだよ？　人に偉そうに言うわりにできないの？」

「一花、お前……っ」