砂浜に描いたうたかたの夢
「高校生だからもう大丈夫だろうと思ったのかもしれないけど……私、伯母さんに会うまですごく不安だったんだよ?」



乗り場と時間をブツブツ唱えて。切符と電光掲示板をしつこく照らし合わせて。

無事に乗ることができてホッとしたけれど、油断はできなかった。

降りる駅を間違えるといけないから、停車する度に駅の名前を確認して。眠かったけど乗り過ごしてしまうかもしれないからって、勉強で眠気を飛ばした。



「絵日記の宿題だって、こっちに来る前に、既に1回計画立て直してたんだよ⁉ なのに、そっちが勝手に決めるから、結局2回も立て直した……っ」

「えっ、そうだったのか?」

「そうだよ! あと、1週間空いてたからって言ってたけど、じゃあそれが仕事の時だったらどうなの⁉」

「それは……」



責めるように早口でまくしたてると、バツが悪そうに黙り込んだ。


自分のことは棚に上げて偉そうに物を言う。これだから大人は理不尽で嫌なんだ。

っていっても、私自身もそこまで出来た人間じゃないから、偉そうなことは言えないけど。
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