砂浜に描いたうたかたの夢
でもさ……普通親は、子供のお手本にならなきゃいけない存在だよね? あれこれ口出しする以前に、自分自身の言動は見直さないの⁉



「それなら、提案した時にすぐ言えば良かったじゃないか。嫌がってる様子じゃなかったから、てっきりいいのかと……」

「うるさい! 言い訳すんな! この呑んだくれの暴れん坊親父が!」



乱暴に吐き捨てた後、近くに転がっていたボールを拾い、父の顔めがけて投げて走り去った。


「たった」で済ませてほしくないとは言ったものの、そこは「ごめん」って、“たった一言”でもいいから謝ってほしかった。


あー、本当イライラする。朝から説教しやがって。しかもおでかけ前に。

そもそも、毎日の勉強で疲れきった心を癒やすために帰省したのに! 疲れの元凶になった話題をここで出すか⁉



「お父さんのバカヤローーっ‼ クソ親父ーーっ‼」



止まることなく走り抜けて高台に登り、誰もいない閑静な海に向かって叫んだ。



「朝から元気だね」

「凪くん……!」



すぐ後ろで声がして振り向くと、昨日と同じ格好をした凪くんが立っていた。
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