砂浜に描いたうたかたの夢
「ねぇ、お父さん、何があったの……?」



ズズーッとティッシュで鼻をすする父に尋ねた。


もしあれが夢だとしたら、私は一体どうやってここまで運ばれたのか。

真相を探るべく、まずは海で溺れた後の話を聞く。



「なんだ、覚えてないのか? お前、浜辺で倒れてたんだぞ」

「そうなんだ……。じゃあ、誰がここに運んだの? お父さん? 智?」

「いや、運んだのは救急隊員の人。だけど……一花が倒れてるのを最初に見つけたのは、ジョニーなんだよ」



全く予想していなかった人物が登場して、目を点にする。

ジョニーが……? じゃあ、助けてくれた凪くんは一体どこに行ったの?



「実は、一花が出ていった後、智くんと一緒に遊んでたんだ。そしたら、何も通っていない道路を見つめ始めてな」

「道路って、家の前の?」

「あぁ。何かいるのかと思って見てみたら……いきなり飛び出していって。それで2人で追ってたら……」
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