砂浜に描いたうたかたの夢
承諾すると、みんな話を聞いていたのか、席を立って一斉に机と椅子を動かし始めた。

表情は硬かったけど、嫌がられてなかったみたい。

ホッとして頬が緩み、教室に入る。



「先輩! 準備できました!」

「はーい」



荷物を下ろしている間に移動が完了した様子。
肩と首を回して体をほぐし、十数人の後輩が待つ部室の中心へ。

四方八方から視線を浴びながら椅子に座り続けた。


約2時間後、最終下校時間の6時に。

部員達と別れた後、小雨が降る中、駐輪場へ。雨が酷くならないうちに急いで帰路に就く。



「ただいま」

「おお、凪くん。おかえり」



玄関で濡れたスクールバッグをタオルで拭いていると、祖父がやってきた。



「もうご飯できてるみたいだよ」

「ん。分かった」

「それと、学校からお届け物が来てたよ。リビングに置いてるからあとで持っていってね」

「はーい」



返事をして洗面所に向かい、手を洗ってタオルをかごの中に入れた。


……お届け物か。多分こないだ注文したやつかな。

先に回収するため、荷物を持ったままリビングへ。
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