砂浜に描いたうたかたの夢
家族の笑い声が耳障りに思えて耳栓をしたり。
授業中、当てられた問題を解くのが面倒に感じて、途中で放棄したり。

公共の場で騒いだせいなのか、はたまた仲間に嘘をついたせいなのか、些細なことでイライラするようになった。


何度も爆発したくなったけれど、もし感情任せに暴言を吐いたら、クラスメイトや部員達に迷惑をかける上に、変に気を遣われて腫れ物扱いされてしまう。

毎日毎日、家に着くまで必死に抑え込んだ。


そんなひたすら我慢の日々が続くこと数日──。



「じゃあ、よろしくね」

「はいっ。お任せください!」



金曜日の午後4時半。校内の室内プールにて。
テスト前最後の部活は、水泳部の活動で締めくくることに。

後輩の男の子に計測を頼み、ジャンプ台に登る。



「では行きますよ。よーい……」



背後でピッと短く笛が鳴り、プールに飛び込んだ。全身をしならせ、力強く進んでいく。


一昨日の水曜日も計測したのだが、やはり調子は良くなく。自己記録に一歩届かずに終わった。まぁ、朝から雨で気分が滅入ってたのもあるかもだけど。

対して今日は曇り。それに晴れ間もあったから、気分は多少いいとは思う。
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