砂浜に描いたうたかたの夢
理桜は小学生の頃からサッカーを習っていて、今ではサッカー部のエース。よく相談にも乗っており、技術も抜群で頼れる先輩だと人気なのだそう。



「俺ら、ユニセックスネーム同盟だろ? 話してくれよ。無理ない範囲でいいからさ」



ニカッと歯を見せて笑った理桜。その歯は空に浮かぶ雲よりも白い。

出会って11年。意外と周りを見ている理桜なら、俺が空元気だとすぐ見抜くのも当然だな。



「実はさ……」



自転車を押しながらここ数週間の出来事を話した。



「……なるほど。今の話聞いて、なんとなく予想ついた」

「マジ? 原因は何なの?」

「多分スランプだな。それも、進路の悩みで拍車がかかった厄介なやつ」



横断歩道に差し掛かり、立ち止まったところで原因を探る。



「まず、スランプの原因だけど、十中八九、性格だな」



ズバッと言い切られた言葉が胸に刺さった。

長年の仲だからって、遠慮なさすぎだろ……。



「お前は無駄に真面目なんだよ。あと頑張りすぎ」

「そうかな。鋼太郎に比べたら全然だと思うけど」
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