砂浜に描いたうたかたの夢
全員に配り終え、ふかふかの座布団の上に腰を下ろした。



「えー、今日は集まってくれてありがとうございます。まだ全員揃ってはいませんが、ひとまず乾杯しましょう!」



祖父の掛け声に合わせて、「乾杯!」とガラスのコップをぶつけ合った。

ぷはーっ、ひと仕事終えてのジュースは最高だ!



「おっ、唐揚げ発見。いただきまーす」

「あー! それ私が狙ってたやつ!」

「いいだろ。まだあるんだし」

「それが一番大きかったの!」



リスのように頬を膨らませてモグモグする智。

くそぉぉ、お店で見た時から狙ってたのに! しかも焼き鳥まで取っちゃってる!

早い者勝ちとはいえ、大好物を先に取られたのは悔しい。



「一花ちゃん、唐揚げなら、こっちに大きいのあるよ。あげようか」

「えっ、いいの?」



口をへの字にしていたら、奥に座っている祖父から嬉しい情報が。

いくら孫でも、顔を合わせたのは数年ぶり。にも関わらず、こんなにも温かく接してくれるなんて……。
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