砂浜に描いたうたかたの夢
「俺も入れてー」

「……どうぞ」



あぁビックリした。自分の家じゃないんだからノックくらいしてよ。もし着替えてたらどうするの!

溜め息をつき、広げていた宿題を片づけて場所を空ける。



「ん? 何これ」



すると、智が1冊のノートを手に取った。



「【8月3日 今日は久しぶりに、中学時代の友達と電話した】もしかして絵日記? ハハハッ、小学生かよ」

「ちょっと! 返してよ!」



ケラケラ笑いながらページをめくる智。

勝手に見るな! 読み上げるな! プライバシーの侵害だぞ!

立ち上がって上から強引に奪い返した。



「もう! やめてよ!」

「わりぃわりぃ。でもお前、絵上手いな。よっ! 偏差値70の優等生!」



反省の色ゼロの軽々しい謝罪。
馬鹿にしたような口調で褒められても、全然嬉しくないし。逆に不快だっての。


その後、数時間奮闘し、目標の量をクリア。
昼食の残りを含めた夕食を食べ、一息ついた夜の8時過ぎ──。



「智くん、一花ちゃん、準備はできたかい?」

「オッケー!」

「うん! バッチリ!」
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