砂浜に描いたうたかたの夢
「うん。最近ちょっとお腹が出てきちゃって。このままだと服が入らなくなりそうだから」

「えっ、そんなに⁉ ヤバッ! 今もパツパツしてんの?」



すると、祖父を挟んだ右側から、無神経で失礼な質問が飛んできた。


はぁ……どうして私の周りの男子はデリカシーがないのだろう。 
この無神経野郎。だから彼女と喧嘩したんじゃないの?


反応したら負けだと思い、のどから出かけていた声を抑える。


30分ほど歩いていると、風に乗って潮の香りが漂ってきた。



「もしかして、海に行くの?」

「まぁ、行くには行くが、中には入らないよ。ジョニーの足が汚れるから」



期待したのも束の間、わずか2秒で撃沈。

……ですよね。洗うの大変だし、夜だし。仕事増やしたくないよね。

だけど……。



「そんなに、行きたいのかい?」

「……自由研究用に、写真が撮りたくて」



今日の天気は雲1つない快晴。夜空に月が綺麗に出ている。

せっかくなら、建物が少ない開けた場所で観察したい。
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