砂浜に描いたうたかたの夢
予想外の答えに目を丸くする。

ってことは、自分の夫と見間違えてたの⁉ でも、ひいおじいちゃんはもう……。



「一花ちゃんも、ひいおじいちゃんとは何度か会ったことはあるんだけど……覚えてるかな?」

「うーん……あまり。ひいおばあちゃんでさえ、ほとんど覚えてなかったから」



祖父母の顔は、昔の父の写真で確認済みなのに対し、曾祖父母の顔は未確認。

そのため記憶は9年前で止まっており、どんな顔だったかまでは覚えていない。
だから昨日、家族写真を見ても全くピンとこなかった。

だけど、しわしわの手とか、腰が曲がったシルエットとか、部分的にはなんとなく覚えている。



「そんなに似てる? 私とひいおじいちゃん」

「あー、目元が似てるかな。飾ってる写真は柔らかい雰囲気だけど、若い頃はキリッとしてたみたいだから」



なるほど。確かに話す時はまず目を見る。それなら記憶に強く残るよね。

キリッとしてるなら智も似たような系統だけど……女の私のほうが似てるのかな。
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