砂浜に描いたうたかたの夢
くるっと振り向いて元気よく返事をし、曇りガラスの扉を開ける。



「おお! 一花ちゃん!」



外に出ると、駐車場で祖父とジョニーが水遊びをしていた。



「おでかけかい?」

「うんっ。そっちはプール?」

「そうだよ。夏場は時々こうやって遊ばせているんだ」

「へぇ〜。ジョニー、良かったね〜」



ペット用のプールに座っているジョニーの前にしゃがみ込む。


教えてもらった情報によると、犬は人間よりも体温が高いらしく、季節の変わり目になると、気温に適した毛に生え替わるのだそう。

ハッハッと舌を出して呼吸するのも、体温調節のためなんだとか。


とはいえ、夏毛でもかなり暑そう。真夏に毛皮のコート着てるようなものだもん。

気楽で羨ましいと思ってたけど……犬も犬なりの事情があって大変なんだなぁ……。



「うわぁ!」

「こらっ、ジョニー!」



お疲れ様と言わんばかりに頭を撫でると、身を乗り出して顔をペロペロ舐め始めた。

不意打ちの愛情表現に驚き、慌てて手でガードする。

室内にいる時は、足元にくっついてくるだけだったのに……っ。そんなに嬉しかったの……?
< 54 / 322 >

この作品をシェア

pagetop