彦星さまは会いたくてたまらない






俺は短冊を手に取る。

そして文字に目を移した。



丁寧にていねいに書いたのが

伝わってくるほど、綺麗な文字。



愛おしくて

指で触らずにはいられない。





はっ!


俺は今、姫野の文字が

愛おしいって思った?



思ったよな、確実に。



思っちゃダメだろうが!



恋心を消し去る決意が

揺らぐだろうが!




そんなことより……

姫野の願いごとって……何?




俺は文字を瞳に映す。






『彦星さまとの思い出を

 私の頭の中から

 消し去ってください。


          衣織』








なんだよ……

それ……




どれだけ好きなんだよ。

彦星のことが!!




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