彦星さまは会いたくてたまらない



「衣織ちゃんは
 ずっと苦しんでる。

 生まれ変わってから
 今日までずっとね。

 でも安心して。

 僕が衣織ちゃんのこと
 絶対に幸せにする。

 彦ちゃんを思い出す
 暇がないくらい

 衣織ちゃんのこと
 溺愛しつくして見せるから」







凛空は俺の手から

スルっと短冊を抜き取ると



「僕の恋を叶えてよ。

 お願い! 彦星さま!」



手のひらを合わせ

俺を拝み始めた。





そりゃあ俺は

凛空の恋を応援するって

決めたけど……




正直俺は

確実に姫野に惹かれている。



でも教師だ。



生徒と恋愛をするなんて

世間は認めない。


俺の倫理にも反する。





良いじゃないか

凛空と姫野がくっつけば。



二人が幸せになれば

それでいいじゃないか。



俺も俺で

姫野以上に好きなれる女を

探せばいい。



それでいい。


いいはず……なのに……




なんで俺

涙が止まらないんだろう……




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