彦星さまは会いたくてたまらない





俺はプライドが強すぎる。



人前で泣くなんて、死んでも嫌!


そう思って生きてきたのに……



ヤバッ。

マジで涙が、止まんないわ。





俺は顔があげられない。



泣き顔を凛空に見られたくなくて

うつむき、顔を右手で隠す。






七夕の夜

天の川のほとりに座り

雨でずぶ濡れになりながら

思っていた。



この雨は、俺の心に降り続く

悲しみの涙だって。




織姫と離ればなれになり

毎日会いたくてたまらなかった。


待ち望んだ七夕でさえ

雨で再会できなかった。



人前で泣けない俺が

悲しみと絶望感を

雨として流しているんだって。

 



えっ?


何、この記憶……?



今、俺は

彦星と自分が

リンクしたんだけど……




脳内スクリーンの映像が

ブツっと切れ

パッと新たな映像になった。





ベッドの上に寝転んでいる俺。


誰かを

愛おしそうに抱きしめている。




この顔って……姫野じゃね??




< 106 / 199 >

この作品をシェア

pagetop