初恋の人
「康ちゃん、好き……」

 結愛は呟くように言った。

「どうした? 俺も大好きだよ。生まれた時からずっとだ。もしあいつが被害届でも出せば、俺は暴行罪か傷害罪で刑罰受けるかもしれないけど、それでも構わない。結愛を傷付ける奴は絶対に許さない。でも……俺の好きは結愛のそれとは違う」

 康史はきっぱりと言い放った。
 結愛は俯いて唇を噛み締めた。
 勿論わかってはいたけれど、はっきりと口にされると胸が苦しくなった。

「康ちゃんは私のこと、恋愛対象としては見れない?」

「今まで一度もそんな風に見たことはないよ」

「……それでもいいから」

「え?」

 康史が戸惑いの表情を見せた。

「それでも康ちゃんと一緒にいたいの。康ちゃんの好きが、親心でも兄心でも何でも構わない。私を思ってくれる気持ちには変わりないから」

「結愛……」

「康ちゃんは、あの人と……年末に一緒にいたあの人と結婚しちゃうの? 康ちゃんが誰かのものになっちゃうのは絶対に嫌なの!」

 結愛は正直な気持ちをぶつけた。

「嫌なのって言ったって……」

「康ちゃんのお嫁さんにしてください」

「……」

 康史はこめかみに指を当て困惑しているようだった。
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