絶対的恋愛境界線〜当て馬だってハピエン希望です!〜
* * * *

 徳香の中に身を埋めたまま、涙を流しながら眠ってしまった彼女にキスを繰り返した。

 ごめんね、俺の勝手に付き合わせしまって……こんな俺を受け入れてくれてありがとう

 こんなふうに誰かを好きになったのは初めてかもしれない。本当は徳香を自分だけのものにしたかったけど、諦めることを決意した。

 信久は徳香を起こさないように、呻き声をこらえながら、彼女の中からゆっくりと出る。そしてベッドからそっと降りると、彼女に布団をかけ、自分は着替えを始めた。

 テレビのスイッチを切り、最後にもう一度だけ唇を重ねる。後ろ髪引かれる想いを振り切るように玄関に向かって歩き出した。下駄箱の上にあったこの部屋の鍵を手にして外に出てから、静かに鍵をかけた。

 外はまだ薄暗く、寒さに体が震えた。もうここに来るのも最後かなーーそう思うと胸が苦しくなる。

「ありがとう……ごめんね……」

 そう呟くと、ドアの郵便受けの中に鍵を落とした。
< 108 / 133 >

この作品をシェア

pagetop