絶対的恋愛境界線〜当て馬だってハピエン希望です!〜
「そういえば、今日は社食にいませんでしたね」
「うん、今日は同期のみんなと外に食べに行ってたんだ。松重くんは同期会とかある?」
「そういえば営業の島田に飲みに誘われてた気がする……」
「えっ、行かないの?」
「毎回は行かないですね。だってちょっと面倒じゃないですか? その間にやりたいこともあるし」
「やりたいこと?」
杏に尋ねられ、信久は口籠る。あまり自分の趣味について語るのは得意ではなかった。しかし他に話題を振る自信もなく、意を決して口を開く。
「写真の整理とか、映画を観たりとか」
「へぇ、映画好きなの? なんかちょっと意外かも」
やっぱり意外なんだよなーーメガネをかけた見た目から『実験とかしてそう』とか、『勉強好きっぽく見える』と、よく言われるのだ。
「長崎さんは映画とか観ますか?」
「うーん、観るは観るんだけど、流行りのものしか観ないかなぁ。好きな人はミニシアターとか行ったりするんでしょ? それに比べたら全然だよね」
「じゃあ長崎さんの趣味って?」
「私? 新しいスイーツの発掘かな。甘いものに目がないの」
「スイーツですか……いいですね。今度美味しいお店があったら是非教えてください」
スイーツだなんて、なんて可愛い趣味なんだろう。
「松重くんもスイーツに興味ある?」
「……少し」
一人だと全く食べない。だからこそ、どんなものかと少しだけ興味はある。
「じゃあオススメを選んでおくね」
「楽しみにしてます」
そしてまた杏はコートに戻っていった。
信久はわずかな時間でも杏と会話が出来たので満足していた。
一応オススメのスイーツを教えてくれるって約束したが、これが社交辞令で終わらないように、自分なりに調べようと思って頷いた。