絶対的恋愛境界線〜当て馬だってハピエン希望です!〜
* * * *

 信久が杏に話しかけたのを確認すると、徳香は納得したように大きく頷き、修司の方へ向き直る。

「笹原さん、スリーポイントのシュートって、どうやったら上手くなれますか? なかなか入らないから、コツとか知りたいなぁって思って」
「それは俺も知りたいよ。さっき俺が外すところ見てたでしょ? 経験者の近藤さんとかに聞いた方が早いよ」

 いやいや、私は笹原さんから聞きたいだけなのーーそう思ったが、彼を困らせるわけにもいかなくて、渋々頷く。

「そっか。じゃあ近藤さんに聞いてみますね」

 きっとこのネタじゃ話は続かない。次の話題を探さないと。

「そういえばこの間、笹原さん、メロンパンが好きって言ってましたよね。"ピオーネ"っていうお店のメロンパンは食べました?」
「えっ、知らない。どんなメロンパンなの?」
「まわりはサクサクなんだけど、中のパンがしっとり滑らかで、溶けて消えちゃう感じ。是非笹原さんに食べてもらいたいなぁ」
「うわぁ……話聞くだけで美味しそうなんだけど……」

 そりゃそうよ! 笹原さんに興味を持ってもらいたいから必死になって探したんだものーー修司が食いついたことで手応えを感じる。

「今度行ってみるよ! いい情報をありがとう」
「えっ、あっ、じゃあ今度一緒に行きませんか? 私もまた買いに行きたいし」
「ありがとう。でも悪いからさ、今度俺が買いに行った時に、小野寺さんの分も買ってくるよ」

 あぁ、そうじゃないのにーーこれは遠回しに断られたのだとわかった。好きな人がいる人にアプローチすることの難しさを実感した。
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