絶対的恋愛境界線〜当て馬だってハピエン希望です!〜
* * * *

 映画が終わった後、通りに面したカフェで少し遅めの昼食を食べていた。

 外のオープンテラスでも良かったが、七月に入って暑さも厳しくなってきたため、二人は涼しい店内を選んだ。

「フランス映画って、なんとも言えない空気感があるよね。なんかこう、ちょっと切ない感じというか……」
「うん、俺もそれが好きなんだ」

 それぞれパスタと飲み物を頼み、一呼吸つきながらもお互いの感じたことを自然と口にしていた。普段から意見の相違が気になって言えないことも、信久になら言える気がするのは何故だろう。

「長崎さんは映画とか観るのかな?」
「聞いたら、流行のものは観るって。だからこういう映画はあまり興味ないかもね」
「えっ、でも流行のものはどこでもやってるんだよ。そっちの方が誘いやすくない?」
「……なるほど。そういう考えにはならなかったな」
「時間も場所も好きに選べる方が、その後の予定とかたてやすいと思うよ」
「予定……」

 急に顔をしかめて考え始めた信久に、徳香は首を傾げる。恋愛初心者なのは見ていてわかるが、彼は長崎さんとどんなか関係になりたいのかが掴めず、徳香は怪訝な顔で首を傾げた。

「あのさ、信久は長崎さんと一緒にやりたいこととかないの?」

 信久は時間が止まったように微動だにせず、視線だけ動かして宙を見上げる。

「あまり考えたことなかったなぁ」
「……えっ、ないの?」
「悪い? 徳香は笹原さんとしたいことってあるわけ?」
「もちろん、いっぱいあるよ! 好きな人と一緒に行きたいところ、食べたいもの、そんなの語りきれないよ。あとは、ほら、イチャイチャしたいなぁとかさ」

 楽しそうに話す徳香を見ていた信久は、しばらく考え込んでから下を向いた。
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