絶対的恋愛境界線〜当て馬だってハピエン希望です!〜
◇ ◇ ◇ ◇
体育館に入った時、やけにみんなが盛り上がっていた。何事かと思って見てみれば、メンバーたちの真ん中で徳香が珍しくテンパっている。顔面を蒼白にし、開いた口が塞がらなくなっている徳香を見たのは初めてだった。
徳香が信久に気付いて助けを求めるような目をしたが、さすがにここではまずいと思ったのか、すぐに視線を逸らす。
「何があったんですか?」
目の前にいたメンバーの男性に尋ねると、その人は興奮したように鼻息を荒くして答える。
「小野寺さんって学生時代に新体操やってたらしくて、今から披露してくれるんだって! 東京都で三位だってさ。すごいよな!」
新体操? そんなこと初めて聞いたーー信久は興味深そうに目を見開く。
「でも久しぶりだし……」
「軽くでいいよ! 怪我したら危ないしね」
そんな会話が聞こえてきて、信久は急に不安になる。
「ほら、ちょうどバスケットボールもあるよ」
「いや、それじゃあ怪我しますから」
おいっ! 誰だよ、そんな馬鹿みたいな発言する奴はーー信久は睨みつけるように辺りを見回す。その間に徳香がため息をつくのが見えた。
「じゃあ……ボールを持ってるフリとかでいいなら、ちょっとだけ……。あの……誰かスピーカーとかありますか? 音楽に合わせたいので……」
「あっ、俺持ってるよ。仕事で使うから持ち歩いてるんだ」
スピーカーとスマホを連動させようとした徳香のそばに信久は駆け寄る。
「俺がやるよ」
「ありがとう」
徳香の顔を見た信久は思わず目を疑った。安心したような表情にドキッとする。いつも自信満々な感じなのに、珍しく気弱になってるようだった。
「あ、うん、大丈夫。なんかとんでもないことになっちゃったなぁって思って……」
「今からでも断れば?」
「ううん、大丈夫だよ。ありがとう」
「そっか。それなら無理と怪我だけはしないようにね」
小声で話しかけると、徳香は柔らかく微笑み、いつもの彼女に戻ったように見えた。
体育館に入った時、やけにみんなが盛り上がっていた。何事かと思って見てみれば、メンバーたちの真ん中で徳香が珍しくテンパっている。顔面を蒼白にし、開いた口が塞がらなくなっている徳香を見たのは初めてだった。
徳香が信久に気付いて助けを求めるような目をしたが、さすがにここではまずいと思ったのか、すぐに視線を逸らす。
「何があったんですか?」
目の前にいたメンバーの男性に尋ねると、その人は興奮したように鼻息を荒くして答える。
「小野寺さんって学生時代に新体操やってたらしくて、今から披露してくれるんだって! 東京都で三位だってさ。すごいよな!」
新体操? そんなこと初めて聞いたーー信久は興味深そうに目を見開く。
「でも久しぶりだし……」
「軽くでいいよ! 怪我したら危ないしね」
そんな会話が聞こえてきて、信久は急に不安になる。
「ほら、ちょうどバスケットボールもあるよ」
「いや、それじゃあ怪我しますから」
おいっ! 誰だよ、そんな馬鹿みたいな発言する奴はーー信久は睨みつけるように辺りを見回す。その間に徳香がため息をつくのが見えた。
「じゃあ……ボールを持ってるフリとかでいいなら、ちょっとだけ……。あの……誰かスピーカーとかありますか? 音楽に合わせたいので……」
「あっ、俺持ってるよ。仕事で使うから持ち歩いてるんだ」
スピーカーとスマホを連動させようとした徳香のそばに信久は駆け寄る。
「俺がやるよ」
「ありがとう」
徳香の顔を見た信久は思わず目を疑った。安心したような表情にドキッとする。いつも自信満々な感じなのに、珍しく気弱になってるようだった。
「あ、うん、大丈夫。なんかとんでもないことになっちゃったなぁって思って……」
「今からでも断れば?」
「ううん、大丈夫だよ。ありがとう」
「そっか。それなら無理と怪我だけはしないようにね」
小声で話しかけると、徳香は柔らかく微笑み、いつもの彼女に戻ったように見えた。