絶対的恋愛境界線〜当て馬だってハピエン希望です!〜
徳香は肩を落とす。私には手を振って別れるのに、長崎さんとは一緒に帰るんだもんねーー気が付けば、体育館には数人しか残っていなかった。気を取り直して荷物を取りに戻ろうとした時、誰かが徳香の肩を叩いた。
振り返るとそこには信久が立っていたので、思わず泣きそうになってしまう。
「信久……」
名前を口にして、慌てて口を手で押さえる。しかし信久は何の反応も示さない。
「大丈夫。もうみんな帰ったから、気にしなくていいよ」
「そっか……」
「ほら、荷物」
信久は手に持っていた徳香の荷物を手渡す。
「元気ないな。まぁ笹原さんが長崎さんを好きなことはわかってるんだから、フラれたからって落ち込むことはないよ」
「まだフラれてません! ってか、見てたの⁉︎」
信久は笑顔で徳香を見下ろしている。その笑顔に、徳香の心は癒された。
「まぁそうよね……落ち込んでも仕方ない。もう少し頑張る!」
「それでこそ徳香。じゃあ俺たちも帰ろうか」
徳香はキョトンとした表情になる。
「……体育館から二人で帰るなんて初めてだよね。あっ、でも駅に誰かいたらどうする?」
「別に。サークルメンバーが一緒に帰るくらい、よくあることじゃない?」
「あー……そうだね……」
あれ、考え方が変わった? 前は友達だってことすらバレたくなさそうだったのに。私のことをちゃんと友達と認めてくれたってことだろうかーーよく考えれば、同じ路線だし、仲良くなったっておかしな話ではないのだ。
徳香は信久の隣に並んで歩き出す。誰かがそばにいてくれることがこんなに安心出来るなんて、久しぶりに感じていた。