絶対的恋愛境界線〜当て馬だってハピエン希望です!〜
「そういえば会社で長崎さんと話したりするの?」
急に話題を振られてあわてたものの、答えを考えることで冷静さを取り戻していく。
「いや、ほとんどないかな。時々社食で会った時くらい。部署が違うからそもそも会わないしね」
「そうなんだ。てっきりちょこちょこ会うのかなって思ってた。なかなか会えないなら寂しいね」
「……寂しい?」
「そうだよ。やっぱり一日一回は好きな人に会いたいなぁとか思わない?」
「どうかな。仕事中はそういうこと考えないから。男と女じゃ考え方が違うんじゃない?」
「そうなの⁉︎ やだ、男の人ってなんかドライだねぇ」
「徳香は笹原さんに会えないと寂しいの?」
「私の場合は会えないのが当たり前だから。だから会える日を楽しみに待つしかない」
徳香が好きなのは笹原さんなんだから当たり前じゃないか。それなのになんとなく信久はモヤっとした。
「笹原さんと連絡先は交換してないの?」
「うん、なんかね、個別にはしないんだって。グループならいいけどって言ってた。まぁ、程のいい断り方だよね。長崎さんとは交換してそうじゃない?」
そこまで話した徳香は、パッと両手で口を押さえる。
「ごめん、デリカシーなかったかも」
「何が?」
「長崎さんと笹原さんが連絡先交換してそうとか……」
「もしかして俺が傷付くと思ったってこと?」
徳香は気まずそうに頷く。
「好きな人のそんな情報、聞きたくないじゃない? 私も自分から言うならいいけど、人から知らされるのは嫌だもの」
「俺は気にしないかな。徳香に言われて納得したし」
「本当? そっか……それなら良かった……」
正直なところ、本当に何とも思わなかった。むしろ徳香がそのことを気にしてくれたことの方が嬉しいなんて、もう信久の中で答えは出ているようなものだった。