絶対的恋愛境界線〜当て馬だってハピエン希望です!〜
信久は鼓動が速くなるのを感じ、ゴクリと唾を飲み込む。
「徳香……あざと過ぎ……」
「はぁっ⁉︎」
「笹原さんにそうやってやればイチコロじゃない?」
「……やったことあるけどダメだった。こういうのは笹原さんの好みじゃないみたい」
「……じゃあなんで俺にやるの?」
困ったように話す信久を見て、徳香は笑い出す。
「別に何も考えてなかった。写真見せてって言おうとしただけ。まさか意識しちゃった?」
「……す、するわけないだろ」
「そう言うと思った。どうせ私のこと、女として見てないでしょ? 長崎さんとは正反対だもんね」
その時の徳香の表情がどこか寂しそうに見えた。
「別に長崎さんと比較しなくてもいいと思うけど」
「どういうこと?」
「徳香は徳香だろ。俺はそういう徳香らしいところ、結構好きだけどな」
『好き』と口にしたことが急に恥ずかしくなって下を向いてしまう。今まで似たような状況になっても、そんなこと口にしたことはなかった。『悪くない』と言ってきたのに、つい気持ちが溢れそうになっている自分に気付く。
すると徳香ははにかみながら頬を染めた。その表情をカメラに収めたかったのに、何故か体が動かず、目に焼き付けるだけで精一杯だった。
「信久って本当にいい奴だよね。私も信久のそういう、さり気なく優しいところが好きよ」
『好き』と言われても満たされないのは、これが友達として、人間としての『好き』だから。
あぁ、そっか。やっとわかった。ようやく自覚した。俺は徳香に恋してる。徳香のことが好きなんだ。俺の心は、徳香からの本物の『好き』を欲してる。君が欲しくてたまらないーーそのことに気付き、胸が苦しくなった。