絶対的恋愛境界線〜当て馬だってハピエン希望です!〜
「反省会はまたやればいいよ」
「……今日の反省は今日しないとダメじゃないの? 幼稚園の反省会は後に回したりしないのよ」
どうしても信久を引き止めようとする徳香に対して戸惑いを隠せなかったが、彼女の悲しそうな顔を見て、ようやく意味を理解する。
「何? 俺に慰めて欲しいの?」
「なっ……⁉︎ ち、違うから! 私が慰めてあげようかなって思ったの! だって長崎さんと話せなかったんでしょ……?」
意外な返答に信久は口を閉ざす。
まさか自分のことを考えてくれてたなんて驚きだった。でも確かに今までも杏が絡むと、やけに信久の心配をしてくれる。
本当に徳香っていい奴だよな……なんで笹原さんは気付かないんだろうーーそう思うと、徳香の好意を一身に受けている修司に苛立ちを覚えた。
「じゃあお言葉に甘えて、徳香の家で反省会といきますか」
「よし! 朝まで映画を見まくるぞ!」
「……反省会じゃないの?」
呆れたように徳香を見た信久だったが、ふと口元に笑みを残す。
「今日の徳香、すごい気合入れたでしょ? いつもより女の子らしくて可愛い」
信久が言うと、徳香は顔を真っ赤にして下を向く。
「……なんで信久は気付くのに、笹原さんはスルーなのかなぁ……」
「さぁ、徳香に興味がないからじゃない?」
「何それ。はっきり言い過ぎ。じゃあ信久は私に興味があるの?」
「……あるよ。だって友達だからね」
今はこう言うしかない。徳香に警戒心を抱かせるのは良くないから。
タクシーの順番がやって来たため、二人は中に乗り込む。徳香はドライバーに住所をつたえると、信久の方へ向き直る。
「……ありがとう、信久」
「いえいえ、どういたしまして」
今はまだ徳香の友達でいよう。今はまだ俺が想いを伝える時期じゃない。ゆっくり距離を縮めていくんだーーそう心に誓った。