絶対的恋愛境界線〜当て馬だってハピエン希望です!〜
「じゃあさ……こういうのはどう?」
信久は突然徳香の手を解放したかと思うと、今度は彼女の指の間に自分の指を滑り込ませ、恋人繋ぎをしてみせた。
リハビリとはいえ、刺激の強さに徳香は頭に血が上るような感覚に陥る。
「どうしたの? 徳香の方が照れてる? 俺よりリハビリ必要なんじゃない?」
信久がいたずらっぽい笑顔を向けたものだから、徳香はからかわれていると感じてついムキになる。
「そ、そんなことないもん。ほら、そっちの手も出して。両手で繋いでみる?」
そう徳香が言ったものだから、信久は喜んで反対の手も恋人繋ぎをすると、そのまま彼女の方へ体を近付ける。
「へぇ、両手だとかなり距離感が近くなるんだな。でもこういう繋ぎ方って普通しなくない?」
二人の間には十センチほどの隙間しかない。息がかかりそうなほどの距離に、徳香はまばたきをするのを忘れてしまった。
「あれ? もしかして意識してる?」
「……してないってば。こんなこと、普通は友達となんてしないじゃない。だからなんかちょっと気まずい」
「ふーん……」
「ねぇ、本当にリハビリするの?」
「だって了承したのは徳香でしょ?」
しばしの沈黙が流れる。徳香がその空気に耐えきれずに顔を逸らすと同時に、信久は繋いでいた手を離した。それからテレビ台に近寄り、引き出しを開けた。