絶対的恋愛境界線〜当て馬だってハピエン希望です!〜
「朝まで映画なんだっけ?」
「えっ、あっ、うん、そう」
「じゃあこれにしよう」
信久が選んだのは、学校の人気者の男子と、地味な女の子が恋に落ちるというラブコメディだった。
「これ? なんか信久っぽくない気がする」
「まぁたまにはね」
徳香がDVDをセットする間、信久はベッドを背もたれ代わりに床に座って待っていた。
映像が始まり、隣に座った徳香に向かって信久はふと口を開く。
「……映画館で手に触れるのはアリだと思う?」
「ないね。ポップコーンが食べられないし、飲み物も飲めない」
ボソッと呟いた言葉を聞いて、信久は吹き出す。
「本当だ。その通りだね。じゃあ映画を観ている時は触れないようにしよう」
徳香に向かって微笑むと、信久は画面に集中し始めた。
しかし徳香の方は戸惑いが隠せず、頭が混乱していた。
これは一体どういうこと? リハビリ? そんなのって必要なの? っていうか、友達にあんな風に触れる? いや、雪乃は触れてくるかーーしかし聞くことが出来ないまま、時間だけが過ぎていく。
徳香は信久をちらっと見た。私のことを長崎さんの代わりにしてるってことよね? だとしても触るってどうなのよーー信久には言えなかったが、前に付き合ってた人とは恋人繋ぎなんてしなかった。せいぜい普通に握るくらい。だから初体験を信久としたことに困惑してしまう。
信久はこういう付き合い方をするのだろうか。実は隠れ肉食系男子? ーーそう思いながらため息が出た。
なんで了承しちゃったんだろう。慣れないことはするもんじゃないわーー相手が信久なのに、緊張する自分が信じられなかった。
心のモヤモヤは晴れなかったが、映画が徐々に面白くなってきたため、徳香はいつの間にか考えるのをやめて映画に集中していた。